日本学術会議会員の任命拒否は、学問の自由を脅かすだけでなく国権の最高機関である国会への重大な挑戦だ。臨時国会の開会を待つことなく、菅義偉首相出席の下、徹底的に追及すべきである。
衆院内閣委員会の閉会中審査がきのう開かれた。新型コロナウイルス対策を審議するために与野党が合意したものだが、臨時国会は今月二十六日まで開かれない。新内閣発足後、首相の所信表明演説が五週間以上も行われないのは極めて異常な事態だ。まずは政府と与野党に猛省を促したい。
内閣委の審議は、喫緊のコロナ対策にとどまらず、日本学術会議が推薦した候補の会員任命を、菅首相が拒否した問題に多くの時間が費やされた。当然であろう。
野党側は任命を拒否された六人が「なぜ選に漏れたのか」「理由を説明すべきだ」と迫ったが、政府側は「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点から日本学術会議法に基づいて会員の任命を行った」(大塚幸寛内閣府官房長)との答弁を繰り返し、任命拒否の理由説明を拒んだ。
同法は、会員は同会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と定め、政府はこれまでの国会答弁で、首相の任命は「形式的」なものと説明してきた。首相に裁量の余地を認めていない。
しかし、政府側は、首相が学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はないとする内部文書を二〇一八年に作成していたという。
三ツ林裕巳内閣府副大臣は「学術会議法の解釈を変更したものではない」と強調したが、事実上の法解釈の変更である。政府側の説明には無理があり、不誠実だ。
この文書は、国会での議論も経ず、国会に報告もされていない。これまでの国会審議を通じて確立した法解釈を根底から覆すようなことを、政府の一存で、しかも内密に決めていいはずはない。
こうした政府の行為は、唯一の立法府である国会が有する立法権の侵害であり、主権者たる国民の代表で構成する国権の最高機関に対する冒涜(ぼうとく)にほかならない。
内部文書作成は首相官邸の指示で始めたものですらないという。官僚の暴走ではないのか。
菅政権が継承するとした安倍政権下では、集団的自衛権の行使容認や黒川弘務元東京高検検事長の定年延長など、政府による法解釈の一方的変更が相次いだ。
憲法は「法律を誠実に執行」することを内閣に求める。前内閣から続くこうした粗雑な法運用をこれ以上、許してはならない。
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