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Saturday, December 26, 2020

安倍氏の説明 証人喚問での真相究明が必要だ - 愛媛新聞

社説

安倍氏の説明 証人喚問での真相究明が必要だ

2020年12月27日(日)(愛媛新聞)

 「桜を見る会」前日の夕食会費用補塡(ほてん)問題に関し、安倍晋三前首相が衆参両院の議院運営委員会で質疑に臨んだ。それまでの記者会見と同じ説明を繰り返し、自ら進んで疑惑を解消する姿勢は見られなかった。

 安倍氏は「結果として事実に反するものがあった」と述べ、補塡を否定した首相在任中の国会答弁を訂正し謝罪した。しかし、訂正に至った詳細な根拠は示さず、多くの疑念が残されたままだ。説明責任を果たしたとは言えず、国民の理解は得られていない。このまま幕引きすることなく、うそをつくと偽証罪に問われる証人喚問で真相を明らかにする必要がある。

 夕食会は安倍氏の後援会が主催し、参加者の会費との差額を安倍氏側が補塡。東京地検特捜部は、政治資金収支報告書に夕食会の収支を記載しなかった罪で公設第1秘書を略式起訴したが、安倍氏は不起訴とした。

 事実と異なる安倍氏の答弁は少なくとも118回あった。国のトップとしてあるまじき国会軽視であり、国会論戦が成り立たなくなる。刑事責任は問われなくても政治責任は重大だ。

 今回の議運委でも、補塡の理由や、収支報告書に記載しなかった動機という核心部分が解明されなかった。安倍氏は秘書を全面的に信頼しており、自身が知らない中で補塡が行われていたなどと釈明。野党側は夕食会の会計内容を確かめるため、会場のホテルが発行した明細書の提示を改めて要求したが、安倍氏は「営業上の秘密に当たる」とするホテル側の説明を持ち出し拒否した。補塡の原資は「手持ち資金」としたが、その性格は判然としない。

 安倍氏は在任中と同様に野党の質問に正面から答えず、責任転嫁や論点ずらしと受け取れる発言もあった。自身の道義的・政治的責任は重いと認めながらも、責任の取り方として議員辞職は否定した。補塡を否定し続けたこれまでの言動は結果として国民と国会を欺き、民主主義の基盤を揺るがしていることを改めて自覚すべきだ。

 そもそも、公費で開かれる桜を見る会に安倍氏の地元後援会員を多数招くという「私物化」が問題の根源にある。「首相として推薦を依頼され、地元の秘書が推薦し、内閣府や官邸で最終決定した」と釈明したが、国民は納得しただろうか。

 菅義偉首相も無関係とは言えない。安倍内閣で官房長官を務め、安倍氏を擁護する発言をしてきた。菅氏は自身の責任を重く受け止め、来年の通常国会で説明責任を果たすとともに、引き続き真相の究明に努めることが求められる。

 国のトップが事実と異なる答弁を重ねた背信行為に、国民の政治不信は高まる一方だ。吉川貴盛元農相の現金受領疑惑で強制捜査が始まるなど、「政治とカネ」の問題が次々と明るみに出ている。長期政権のうみを出し切らなければ政治への信頼回復はおぼつかない。

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