ヤンキースからフリーエージェント(FA)となった田中将大投手(32)の楽天復帰が決定的な状況であることが26日、分かった。大リーグの複数球団が獲得へ興味を示しているが、米国は新型コロナウイルス感染拡大の影響で移籍市場の動きが遅く、キャンプや公式戦の開催も不透明なまま。既に楽天は田中と交渉を始めており、13年に球団初の日本一に導いたエースが8年ぶりに戻ってくる。
楽天サイドは既に田中と接触。交渉役の石井監督兼GMも「田中選手と話はしています」と認めた上で「ただ日本やアメリカの野球の状況と考え方だったりもあるので。現状、そのあたりのコミュニケーションは取っています」と続けた。単年契約での条件提示を済ませたことも判明。今後も交渉を重ねて条件を詰めていく必要を残すが、早ければ今週中にも楽天復帰が正式に決まる可能性は高い。
米国は日本以上に新型コロナの影響が深刻。感染者2500万人以上、死者41万人以上は世界最多で、大リーグの昨季公式戦は162試合から60試合に削減した上に無観客で行われた。全球団が大幅な減収となり、緊縮財政を強いられたこのオフはFA市場の動きが前例にないほど遅い。投手でトップランクのバウアー(前レッズ)すら行き先が決まらず。田中にはブルージェイズ、レッドソックス、エンゼルスなどが興味を示したが、交渉は本格化しなかった。
田中は2日にツイッターで「来季プレーしたいチームを限定しておらず、興味を持ってくださる全ての球団の中から考えています」とつづり、あらゆる選択肢を検討していた。家族や生活面だけでなく、公式戦開催の見通しも含めて、野球に専念できる環境は日本に大きく利がある。石井監督兼GMも18日に「もし選択が日本になれば、帰ってきてほしいと言わない理由がない」とラブコールを送った。球団は来季以降に再びメジャーを目指すことも想定し、単年契約の提示に至った。
田中の昨季年俸は2300万ドル(約24億円)。メジャー残留なら今季年俸は1300万ドル(約13億5200万円)前後と米メディアで予想されており、国内に戻っても巨人・菅野の8億円を上回り、日本球界最高俸となる可能性はある。正式契約を結べば、キャンプは2月序盤に合流できることが見込まれる。
田中は楽天の本拠地がある仙台への思い入れが人一倍強く、それを胸に秘めて大リーグで戦ってきた。今年は11年の東日本大震災から10年の節目のシーズン。仙台が、東北が待ち望んだ夢物語が、ついに現実になる。
≪半永久欠番扱い背番号「18」再び≫背番号は楽天時代につけていた「18」が空き番号となっており、そのまま背負うことが有力視される。13年に24勝0敗の成績で球団創設9年目で初のリーグ優勝と日本一に導いた功績などを称え、メジャー移籍後も半永久欠番扱いで誰もつけることはなかった。楽天の永久欠番はファンのための番号「10」と、故星野仙一元監督がつけた「77」。田中がヤ軍で背負った「19」は16年ドラフト1位の藤平がつけている。
≪超豪華ローテ完成≫田中が加わると、楽天の先発は12球団随一のローテーションを組める。昨季、ロッテから移籍した涌井は11勝で最多勝を獲得。岸は腰の違和感で出遅れながら、無傷の7勝を挙げた。さらに田中からエースを受け継いだ則本昂は2年連続の5勝から復活を目指し、ドラフト1位で入団した即戦力左腕・早川(早大)も開幕ローテーション入りが期待される。他球団にとっては脅威で、4年連続日本一のソフトバンクを倒す筆頭候補となる。
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