聞き手・南日慶子
主要株主への対応などをめぐってゴタゴタが続く東芝の株主総会で、経営側が提案した取締役2人の人事案が否決された。経営の混乱がさらに深まるのは必至の情勢だが、東芝経営陣には何が求められるのか。電機業界に詳しい早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授(経営学)に聞いた。
――東芝の株主総会をめぐる混乱をどう見ますか。
「一番の問題は、経営陣が東芝をどういう方向に持っていきたいのか、ビジョンが見えないことでしょう。投資ファンドは短期的な収益性を期待しますが、東芝をはじめ、日本企業は長期的な戦略に基づいて経営する会社が多く、株主の利害と一致するとは限りません。それでも、株式市場から資金を調達するのであれば、企業は株主に戦略を説明し、理解を得る必要があります。車谷暢昭氏が社長を辞任して2カ月がたちましたが、そのメッセージはまだ見えてきません」
――今回の株主総会では、取締役会議長の永山治氏ら2人の再任が否決されました。
「安定的な株主がいないということもあるかもしれませんが、会社は経営者のものではなく、株主のものです。株主に丁寧に説明してこなかったツケが回ってきた部分もあるのだと思います。混乱を収拾しなければ、会社の価値を下げます。経営陣は東芝のめざす方向性を早急に示し、株主に丁寧に説明する必要があります」
一貫性のない姿勢、海外投資家の誤解招いた恐れ
――東芝の外部調査では、昨年の総会運営が公正ではなかったことが認定されました。経済産業省が関与したことで、日本市場の信頼低下につながるとの見方も出ています。
「そのリスクはあります。政…
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