東京五輪の開幕を2週間後に控える中で、国民に行動の自粛を求める決断である。
規制が適切な範囲で効果を上げるよう、感染対策の目的や意義について、国民に分かりやすく説明し、協力を求める必要がある。
政府は、東京都に4度目の緊急事態宣言を発令することを決めた。沖縄県の宣言と、埼玉、千葉、神奈川3県、大阪府のまん延防止等重点措置は延長する。
菅首相は記者会見で、「東京を起点とする感染拡大は絶対に避けなければならない」と述べた。東京五輪・パラリンピックについても、無観客を含め、安全な開催に万全を尽くすことが重要だ。
政府は当初、東京都も重点措置の延長で対処することを検討していた。しかし、新型コロナウイルスの新規感染者数が1日1000人に迫り、五輪開催に向けて、より強い措置を取らざるを得ないと判断したのだろう。
40~50歳代の重症者が増加し、感染力が強いとされるデルタ型の変異ウイルスへの置き換わりも進んでいるという。
政府は東京と沖縄で、酒類を提供する飲食店に休業を求める。自治体の見回りを徹底するほか、酒類販売業者に対し、酒を出す店との取引自粛を要請する方針だ。
また、五輪の観客制限に合わせて、飲食店だけでなく、文化やスポーツなどのイベントについて、観客規制の強化を主張する意見も専門家の一部にあるという。
だが、飲食店を含め、設備投資を重ねて、適切な感染対策を講じてきた事業者は多い。
一律に規制するようなことになれば、かえって五輪開催への反発を招く恐れもある。感染対策の実情を見極めながら、規制内容を慎重に検討すべきだ。
政府は、飲食店に対し、先に協力金を渡す仕組みを導入するという。迅速に支援してほしい。
感染拡大と宣言発令を繰り返す悪循環を断ち切るには、ワクチンの接種加速と、医療提供体制の大幅な拡充が不可欠である。
高齢者への接種は進んでおり、現役世代に広げることが急務だ。供給の目詰まりを解消し、市町村接種と職域接種が足踏みしている現状を改善するため、首相は指導力を発揮してもらいたい。
コロナの入院患者を受け入れた病院は、この半年間で1・8倍に増え、全体の37%が協力しているという。医療従事者へのワクチン接種が進んでおり、さらなる協力拡大の余地があるだろう。
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