
東京五輪・パラリンピックの期間中、選手や関係者が、東京都内などをスムーズに移動できるよう実施されているのが、首都高速道路の通行料金を、時間帯によって変える「ロードプライシング」である。 午前6時~午後10時の間は、物流や公共交通に使われるトラック、バス、タクシーなどを除き、自家用車の通行料金に千円を上乗せする。 その一方で、午前0時~4時は、自動料金収受システム(ETC)の搭載を条件に、全車両の料金を半額とする。 渋滞が常態化する時間帯の料金を高く設定し、車両の流入を減らそうとの狙いである。 コロナ禍にあって、人の移動を抑える効果も期待できるかもしれない。 実際に、混雑が大幅に緩和されたとの報告もある。取り組み期間中の交通量の変化などを分析して、新たな交通政策を打ち出してほしいものだ。 この動きに合わせるかのように、国土交通省の社会資本整備審議会部会が先日、今後の高速道路料金に関する中間答申案をまとめた。 柱の一つは、やはりロードプライシングである。 まず、大都市圏の主要な渋滞発生区間で、曜日や時間帯に応じて変動料金を適用する。 将来的には、交通需要によって、一定の時間ごとに料金が変わるようにする。きめの細かい設定をして、高速道路の利用を分散し、渋滞が起きにくいようにするという。 高速道路で渋滞に巻き込まれるのは、誰しも腹立たしい。ぜひとも実現してもらいたい。 鉄道においても、時間帯によって運賃を変えて、通勤通学の混雑を解消することが検討されている。快適に走行できるのなら、高速道路料金に変動制を導入しても、よさそうだ。 具体化に向けて国交省は、各高速道路会社との調整に入ることにしている。 ただ、その必要性を利用者らに、きちんと理解してもらう必要があるだろう。 高速道路料金は、初乗り料に当たる「ターミナルチャージ」と、利用した距離に見合った額を、組み合わせて支払うのが原則である。 これを踏まえ、観光振興、環境対策、通勤時間帯の一般道の混雑緩和といった政策目的に応じて、休日や深夜、平日朝夕の割引などが実施されてきた。 とはいえ、五輪期間中のような料金上乗せは、いわば「値上げ」である。この場合は、利用者の納得できる丁寧な説明が要るはずだ。 高速道路料金は建設費の借金返済に充てられ、完済後は道路を無料開放することになっている。徴収期間は、2065年9月末までである。 ところが答申案は、橋の建て替えや4車線化、自動運転への対応などの財源を確保するため、期間延長する方針を示した。今後も料金の徴収を続けるつもりだ、との指摘がある。 高速道路料金を巡る状況が、大きく変わろうとしている。誰が、どう負担するのか。いま一度、考え直すべきときだ。
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