日本電気株式会社(以下、NEC)は20日、ローカル5G事業戦略に関する説明会を開催。2025年度までに、ローカル5G関連事業で500億円の事業規模を目指す考えを明らかにした。あわせて、ローカル5G向け一体型基地局「UNIVERGE RV1000シリーズ」を発表ている。
NEC デジタルネットワーク事業部の尹秀薫事業部長は、「UNIVERGE RV1000シリーズは、設置場所や工事の手軽さを実現しており、中小規模のネットワーク導入が容易になった。ローカル5G普及の起爆剤になる」と位置づけた。
一体型小型基地局のUNIVERGE RV1000シリーズを提供
ローカル5G基地局のUNIVERGE RV1000シリーズは、無線部(RU)と制御部(CU/DU)をひとつの筐体内に収めた一体型小型基地局で、小規模ローカル5Gネットワークに適しているという。
Sub6である4.7GHz帯に対応したスタンドアローン型(SA)基地局の「UNIVERGE RV1200」と、ミリ波の28GHz帯に対応したノンスタンドアローン型(NSA)基地局「UNIVERGE RV1300」をラインアップした。
UNIVERGE RV1200は、4.6~4.9GHz対応の一体型基地局としては日本初の製品となり、A4サイズ、3kgと小型・軽量化されている。「システム構成がシンプルなため、構築に関わる自由度を確保しているほか、設置時間や工数を大幅に短縮でき、迅速なネットワーク構築が可能になる。壁や天井、廊下が入り組んだ場所にも設置できる。ローカル5Gの適用領域を拡張でき、ローカル5Gのメリットを享受できるようになる」と述べた。
なお、現状のローカル5Gの課題としては、機器や工事などの初期導入費用が高額であることに加え、メンテナンスや免許取得、導入に手間がかかるため、店舗や公共施設、オフィスビルの1フロアでの利用など、小規模な範囲での導入が難しいという点があるという。
今回の新製品では、一体型基地局となったことで、初期導入費用を50%以下に抑えるとともに、小規模ローカル5Gネットワークの迅速な構築を可能にしたほか、システム拡張も容易にしており、ローカル5Gの普及促進と課題解決に貢献できるという。
「迅速にローカル5Gネットワークを構築したい、スモールスタートで導入し、将来の拡張性も担保したいというニーズも多い。これらのニーズに応えることができる。陸上競技場のトラックの内側の広さとなる1万平方メートル以上の範囲では分離型、それ以下のエリアでは一体型での提案を行っていく」とした。
IoTとローカル5Gを組み合わせた次世代オフィスや、自動ロボットやXRを活用した最先端の買い物促進、デジタルをフル活用した教育コンテンツの提供などでの利用を想定。オフィスや小規模工場での利用、ショールームで検証したのちに各店舗で展開するスモールスタート、人流が多い場所にサイネージを設置する分散配置、イベント会場での期間限定コンテンツの展開などの一時利用、防災拠点に事前設置し発災時に素早く稼働させる臨時設置などにメリットがあるという。
また、「機器の販売だけでなく、企画や検証フェーズではコンサルティングサービス、設計や導入フェーズではインテグレーションサービス、運用や保守フェーズではマネージドサービスを提供し、さらに1月14日には新たなセキュリティサービスを発表している。ローカル5Gの企画、導入から運用までのDXオファリングとして、ワンストップで提供できる点も特徴である」とも述べた。
装置単体価格は、Sub6一体型基地局「UNIVERGE RV1200」が98万円、2022年3月から発売する。また、ミリ波一体型基地局「UNIVERGE RV1300」の価格は498万円(EPCソフトウェア含む)で、2022年度第1四半期に販売を開始する。
UNIVERGE RV1200と5Gコアを組み合わせた「Sub6スターターパック」の価格は498万円から。UNIVERGE RV1300とEPCを組み合わせた「ミリ波スターターパック」の価格は669万円からとなっている。Sub6スターターパックには、Sub6一体型基地局のほか、UPF、5Gコアクラウドの1年間利用料が含まれる。
なお、「Sub6スターターパック」には、NECが運用支援するマネージドサービスの追加が可能であり、これにより、5Gネットワークのアラート検知やインシデントへの対応、保守手配、復旧対処といった運用に関する支援の利用が可能となり、運用業務に関する負荷を軽減できるという。
2つの製品で、2025年度までに1000システムの販売を目指す。
ワークライフ空間の実現と産業DXの実現を目指すNEC Smart Connectivity
NECは、2019年にNEC Smart Connectivityのコンセプトを発表。NEC Smart Connectivity関連ビジネスで、2025年には2000億円の事業規模を目指している。
「これまで培ってきたネットワーク技術や業種ノウハウを集結し、あらゆるものを賢くつなぐことで、新たな価値を生み出すことを目的としている。また、業務プロセスの革新、企業価値の向上、街や暮らしにおける生活者の価値創造によって、ビジネスと暮らしの価値向上を目指している」とし、「NEC Smart Connectivityでは、ネットワーク、データ流通・活用、マネージドサービスにより価値実現を下支えし、その上で、パートナーとの共創によって、新たな価値を創造。ワークライフ空間の実現と産業DXの実現を目指す」とした。
ニューノーマル社会のあるべき姿として、NECではすべての人々が快適、効率、セキュアに活動できる空間を「ワークライフ空間」と定義。いつでもつながる環境、どこでも働ける/学べる環境、接触を避けて事業変革を行う状況、疑似体験でも満足できる環境、従来文化の廃止、AI・ロボットが社会・人を支援する環境、セキュアで正確なコミュニケーションが実現できる環境を提供するとのこと。
「これらの実現には高速で安定したネットワークが必要である。また、産業領域のDXを実現するには、モノ、コト、ヒトを賢くつなぐネットワークの重要性が増している。今後も、製造、建設、流通、交通、公共といった5つの市場セグメントにおいて、ローカル5Gを中心としたDX化に向けた技術検証、価値検証を行っていく」と述べた。
5Gの技術実証事例としては、大林組や大裕による建機の自律運転システム、コニカミノルタとのDX推進強化、リコーとのローカル5Gによる製造業DX、SMBCグループでの次世代XR店舗を見据えた実証、TBSやIIJとの5Gでの地上波同時配信などを挙げ、「NECは日本の5G市場をリードし、さまざまな実証事例を積み重ねてきた。また、総務省事業としても、工場、観光、農業分野でも実証を行ってきた。さらに、パートナーとの連携を強化し、パートナーが持つアセット、技術を組み合わせて、産業DXを推進していく」などと述べた。
さらに、NEC Smart Connectivityでは、企画、検証、設計/導入、運用/監視、保守のライフサイクルをマネジメントし、それに向けた最適な製品、技術、サービスをワンストップで提供。5Gだけでなく、Wi-Fi、LPWA、sXGPなども提供し、多様なニーズに応える姿勢を強調した。
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