第11戦イギリスGPではブラッド・ピット主演の新作F1映画の撮影がスタートする。シルバーストン・サーキットには、人気ハリウッド俳優がドライブする「APXGP」チーム用のガレージやピットウォールが設置された。
Apple Studiosからの配給が決定しているこの映画は、公開日やタイトルを含めて明らかにされている情報が限定的であり、脚本やタイトルを含めて詳細は分かっていないが、リアリズムを追求するため、現実のF1を巻き込んでの撮影が行われる。
リアルチームと並び設けられた11番目のガレージには聞いたこともない「ソニー・ヘイズ」と「ジョシュア・ピアース」という名前が掲げられている。前者はブラッド・ピットが、後者はダムソン・イドリスが演じる架空のドライバーだ。
母国レースを迎えるランド・ノリス(マクラーレン)は、ブラックを基調としてゴールドが組み合わされたAPXGPのピットガレージに「嫉妬した」として、自分たちがどこまで撮影に関与するのかは不明だとしつつも「その一端を担えることは本当に、本当にクール」だと歓迎した。
ただその一方で、「僕が聞いた話だとレース前のインスタレーションラップで僕らに加わるみたいだから、彼らが台無しにしないと良いんだけど」とも述べ、撮影によってレースに悪影響が出る事への懸念を表明した。
Reminder: Filming for ‘Apex’ takes place at Silverstone this weekend during the British GP.
Brad Pitt even has his own garage 👀 pic.twitter.com/kMCrymrWNV
— Vincenzo Landino (@vincenzolandino) July 4, 2023
3日間のイベントではコース上での撮影のために各々20分程度の8つの時間帯が設定されている。イギリスGPの週末はF1だけでなくFIA-F2選手権やF3、ポルシェ・スーパーカップ、ピレリのホット・ラップなど、多くのセッションで埋め尽くされている。
初日はFP1の開始前に15分間、FP2終了10分後からの15分間に渡ってコース上で撮影が行われる。2日目はFP3開始前に25分間と15分間の2つの枠があり、終了10分後からは10分間、予選終了10分後からは20分間、そして決勝当日はレース前に2回に渡って10分間の撮影が予定されている。
いずれもリアルF1マシンと同時にコース上に出る事はないものと見られ、予定にはインスタレーションラップは含まれていないが、ノリスの発言からは実際にやるかどうかはさておき、そういった話が上がっていた事がうかがえる。
「トップガン マーベリック」のジョセフ・コシンスキー監督が手掛ける本作の撮影に使用されるのはメルセデスが設計したF2マシンをベースとした改造車両で、2つのエネルギー回生システムを備えた複雑なV6ハイブリッドF1ターボではなく、620馬力の3.4リッターターボが積まれており、最大15個のカメラが設置される。
走行の際にはスタントドライバーがステアリングを握る見通しだが、ジェリー・ブラッカイマーと並ぶプロデューサーのルイス・ハミルトン(メルセデス)によると、ブラッド・ピットとダムソン・イドリスは肉体強化のためのプライベートトレーニングを受けている。
ハミルトンは、撮影カメラのフレームレートの違いから、映画映像はF1の国際映像よりもマシンが「速く見える」と説明し、59歳というF1ドライバーとしては全く適齢とは言えないながらもブラッド・ピットは「年齢の割に若く見える」として「最高の仕事をしてくれると思う」と付け加えた。
現役F1ドライバーも撮影の開始に胸が高まっているようだ。エステバン・オコン(アルピーヌ)は映画の事を聞かれてもいないのに「APXGPは今週末、幾つかのアップグレードを持ち込んでくるはずだ。ソニー・ヘイズは好調だし、動向を見守るつもりだ」とノリノリだった。
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