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Wednesday, March 4, 2020

(社説)新型コロナ対策 説明尽くし慎重判断を - 朝日新聞社

 新型コロナウイルス対策として、政府が法整備に乗りだすことを決め、安倍首相が野党5党首に協力を要請した。

 必要な手当ては当然すべきだが、どんな制度を考え、いかなる姿勢で臨むのか。政府の明確な説明と国会での十分な審議が必要だ。議論を嫌い、様々な問題について黒を白と言いくるめて不信を深めてきた政権のあり方が、厳しく問われる局面だ。

 検討されているのは、新型インフルエンザ等対策特別措置法を見直し、対象に新型コロナウイルス感染症を加えるというものだ。13年施行の同法は、これまでとは違う新しい型のインフルエンザや、毒性の強い未知の感染症を想定してつくられた。強い感染力を持つとはいえ、多くは軽症で済む新型コロナを直ちに当てはめるのには無理があり、法改正が浮上した。

 同法は、要件がそろえば首相が緊急事態を宣言すると定めている。そうなれば、知事の権限で外出の自粛を求めたり、催しなどの開催制限、学校や福祉施設の使用制限を要請・指示したりできるようになる。臨時の病院開設のための土地使用や必要物資の運送・販売についても、同様のことが可能になる。

 首相はこの宣言を視野に入れているというが、ひとたび発動されると暮らしや経済活動に及ぼす影響は計り知れず、社会に大きな萎縮効果ももたらす。慎重なうえにも慎重な対応が求められ、首相や周囲の判断で進めていい話では決してない。

 被害想定をいたずらに過大なものとせず、科学的根拠や専門家の意見を踏まえる。意思決定の過程を透明にして説明責任を果たし、検証可能な形で後世に残す。人権の制限につながる措置は必要最小限に抑える。

 いずれも現行法の制定時に指摘され、条文や国会の付帯決議に盛り込まれたことだが、この間(かん)の首相の行いはどうだろう。

 全国的なイベントの自粛や小中高校の一斉休校など、政府の基本方針にないことを、政府の専門家会議に諮らないまま表明する。その専門家会議の記録も十全に残さない。突然の政策転換によってしわ寄せを受ける人たちへの手当ては後手に回る。政治の責任を強調する一方で、日によって発言のニュアンスやトーンを変える――。

 対処が極めて難しい問題であることを考慮しても、目を覆うばかりの混迷ぶりだ。

 本当に宣言が必要な状況なのか、「1~2週間が瀬戸際」という従前の見解と法整備はどう整合するのかなど、疑問は山積している。感染症のみならず、法律や経済、教育、社会保障などの専門家の意見を踏まえた、丁寧な説明と政策が不可欠だ。

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March 05, 2020 at 03:00AM
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