世界35位で、日本のエースの錦織圭(30=日清食品)が、復帰2戦目で383日ぶりの勝利を飾った。同44位のラモス(スペイン)に6-4、7-6の2時間4分でストレート勝ち。19年全米2回戦以来の世界ツアー公式戦勝利となった。2回戦では、同17位のバブリンカ(スイス)-同249位のムセッティ(イタリア)の勝者と対戦する。

1年以上ぶりの勝利は生みの苦しみだった。マッチポイントを数えること6本目。5本を逃し続けたが、最後は、錦織のバックがネットイン。ポトリと相手のコートに落ち、あっけない幕切れで、1年以上ぶりの勝利をつかんだ。

勝って、ベンチに戻ったときの錦織の表情が、苦しさを物語った。肩で何度も「ハー、ハー」と息をしながら、顔をしかめた。久しぶりの勝利に浸る余裕もなく、本調子とはほど遠いながらも、何とか勝てた苦しさの方が上回っているようだった。

先週の復帰第1戦のジェネラリオープン1回戦より、第2セット以降の落ち幅は少なかった。第1セットの第10ゲームで、相手のダブルフォールト2本で奪うと、第2セットはタイブレークまでもつれた。3-2から4-2にできるポイントが4本、マッチポイントが5-4で3本、6-5で2本あったが、まだ感覚が戻らないのか、すべてを逃した。

それでも、1度も自分のサービスゲームを落とさず。相手の大事なポイントでのミスにも助けられ、何とかつかんだ勝利だ。苦しんでも勝てたことは、復帰途上の錦織にとっては非常に大きい。特に、今大会は、4大大会に次ぐ規模を誇るマスターズ大会だ。錦織復活へ、まずは第1歩を刻んだ。