エースとしての自覚
2年連続のシード落ち。前回はタスキが最後までつながらず、10区で繰り上げスタートの屈辱まで味わった。5連覇を含む通算10回の総合優勝を誇る名門の看板に憧れて、日本体育大に入学してきた池田耀平にとっては、想像もできなかった現実である。 「こんなはずじゃなかったです」 2年生から2年連続で1区を任され、昨年度は区間3位。個人としては手応えを得たものの、駅伝はチームの成績がすべてである。4年目を迎え、改めて実感している。 「もう悔しい結果で終わりたくないんです」 今年度は周囲にも気を配るようになった。普段の練習から積極的に下級生の成長を促している。 「チームの中で往路を走れる選手をひとりでも出したいと思って、練習から引っ張っています」 エースとしての自覚も芽生え、「学生トップレベルの選手たちと競い、足でチームをけん引する」と、誓いを立てた。10月の箱根駅伝予選会では日本人トップを狙い、果敢にレースを進めた。日本人3番手という結果に本人は納得しなかったものの、エースとしての重責は果たしたと言ってもいい。11月の全日本大学駅伝でも2区で区間3位と快走し、安定感のある走りを見せた。 伊勢路から戻ると、箱根に向けてすぐに気持ちを切り替えていた。どん欲に練習に励む姿勢は変わらず、さらならスピード強化にも余念がなかった。箱根駅伝までのトラックレースで「タイムをしっかり出す」と意気込んでいた。目標は10000mで28分15秒切りだった。 そして、迎えた11月14日の日体大記録会で28分10秒57の自己ベストをマーク。勢いはここで止まらなかった。12月4日の日本選手権に出場すると、驚きのタイムを叩き出す。 27分58秒52。 かつて池田も憧れたOBの北村聡(28分00秒22、現・日立女子コーチ)と服部翔大(28分22秒79、現・日立物流)のタイムを飛び越えて、日体大歴代記録まで更新したのだ。名実ともに名門のエースとして、全国にその名前を轟かせた。 すでにラストランのイメージはできている。強い日体大のエースとして、花の2区で「日本人トップを目指す」と公言。コースレイアウトもほぼ完璧に頭に入っており、目標タイムも明確に定める。ターゲットは1時間7分台前半だ。 「留学生にも食らいついていきます。前回大会、東京国際大の伊藤達彦さん(現・Honda)が見せたような走りが理想です(5人を抜いて区間2位)。僕のところで流れを一気に引き寄せます」 飛ぶ鳥を落とす勢いをチームにも還元するつもりだ。
いけだ・ようへい◎1998年6月22日、静岡県生まれ。164cm・49kg、A型。島田一中→島田高(静岡)。自己ベストは5000m13分57秒82、10000m27分58秒52、ハーフ1時間01分36秒(すべて2020年)。10000mとハーフは日体大記録。箱根は2年時1区12位、3年時1区3位。卒業後はカネボウで競技を継続する 文/杉園昌之 写真/中野英聡
陸上競技マガジン編集部
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