アロエと言えば、その含有物によって日焼けの炎症を和らげることが期待できることで最も知られている植物です。ですが、その効果が期待できるのは、皮膚だけではないようです。
アロエの厚くてトゲトゲした外皮の中は、健康効果のあるビタミン、ミネラル、抗酸化物質、アミノ酸などをたっぷり含んだゲル状の組織になっています。この栄養豊富なジェルから抽出した成分は、保湿剤、シャワージェル、シェービングクリーム、日焼け止めなどに含まれていますが、最も効果が期待できるのは、低温低圧圧縮でコールドプレスされた内側の透明な果肉という研究結果が報告されています。
◇アロエの歴史 ― 古代エジプトのファラオも愛用
まずは、アロエの歴史から学んでいきましょう。人類は5000年以上も前から、アロエを利用してきたと言われています。古代ギリシャ人はアロエを「万能薬」と考え、エジプト人は「不老不死の植物」と呼んでいました。
歴史的文献の中でも、亡くなったファラオ王の埋葬品としてアロエが贈られていたというエピソードまであり、クレオパトラのバスルームキャビネットやアレキサンダー大王の救急箱などからも、アロエは頻繁に登場しています。しかし、ここ最近の現代社会では友人宅の窓際で、枯れた状態でいる残念な姿を見かけることも多いかもしれません。
◇現役の医師が記事を監修
ロンドンの形成外科、カドガンクリニックの皮膚科医長であるキャサリン・ボリシエビッチ博士は、「アロエには抗炎症作用、抗菌作用、抗酸化作用が期待でき、何世紀にもわたって傷口の洗浄や火傷の治癒に使われています。腫れを抑え、肌を落ち着かせ、痛みを軽減し、治癒を促進する抗炎症作用が大いに期待できるため、日焼けの治療に最もよく使われています」と、話しています。
◇アロエの驚きの健康効果10選 ― 食べる、飲む、肌に塗る
アロエの効果を活用するには、「食べる、飲む、肌に塗る」など、いくつかの方法があるとのこと。そのため、やけどした時にしか使用していないとなると、日焼け止めとしての効果も含めて、「アロエのさまざまな可能性を見過ごしている」と言えるでしょう。皮膚のシワのケア、さらに歯垢予防への期待などを含め、アロエの持つ10の可能性をご紹介します。
【1】血糖値をケア ― アロエを飲む
2型糖尿病の方が大さじ1杯のアロエベラジュースを1日2回、少なくとも2週間経口投与した場合の効果を調査した結果、治療群の血糖値とトリグリセリド(体脂肪の大部分を占める物質)レベルが低下したと報告されています。ただし、コレステロール値に関しては影響を受けなかったようです。結果として、アロエベラジュースは抗糖尿病薬として使用できる可能性を示唆しています。
アロエに含まれている化合物によってインスリン感受性は高まり、体内の細胞が血糖をより効果的に利用できるようなると考察されています。そうしてその結果、食欲が減退しながら空腹感は減り、脂肪が減りやすくなると報告されています。
ソウル大学病院で行われた研究では、糖尿病予備軍の患者がアロエゲルのサプリメントを摂取したところ、8週間で脂肪が約1 kg減り、0.5 kg除脂肪体重(LBM)が増えたという結果も出ています。
【2】新陳代謝の活性化(メタボリック改善に期待)― アロエを食べる
アロエは代謝を調整する「AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)」と呼ばれる酵素を活性化させることが、動物実験では明らかになっています。
ある研究では、太らせたラットに乾燥させたアロエジェルを与えたところ、消費カロリーを増加させたため体脂肪を減少させました。しかし、人間が同じ効果を得られるかというと、それにはさらなる研究が現時点では必要です。
【3】 口内炎の緩和 ― アロエを塗る
口唇ヘルペスができたかもと思ったら、アロエが有効な治療薬になる可能性があることを思い出すといいでしょう。
ある研究では、アロエジェルは口唇ヘルペスの最も一般的な原因となる、単純ヘルペスを含むウイルスを撃退することも結果として報告されています。口内炎に悩まされている方は、ぜひアロエベラを塗ってみてください。また他の研究では、アロエジェルは治癒プロセスを促進するだけでなく、それに伴う痛みも軽減させてくれたという結果も報告されています。
【4】歯垢予防 ― アロエを塗る
インドのある研究によると、アロエ成分が含まれたマウスウォッシュは息をリフレッシュするだけでなく、「歯周病の処方薬であるクロルヘキシジンと同じくらい効果的に、歯垢を減らすことができた」という結果も報告されています。
また、アロエジェル配合の歯磨き粉もオススメです。
アメリカの歯科研究機関「アカデミー・オブ・ジェネラル・デンティストリー」が、2種類の市販歯磨き粉で歯の細菌除去効果を比較したところ。アロエジェル配合の歯磨き粉には、虫歯の原因となる細菌を抑制する効果が結果として算出されました。そしてそれは、いくつかのアロエ成分なしの歯磨き粉よりも効果が高かったという結果も報告されています。
【5】保湿効果 ― アロエを塗る
毎日のスキンケアにアロエを取り入れれば、よりフレッシュで潤いのある顔が保てることが期待できるでしょう。
インドの皮膚科の医学ジャーナル誌『Indian Journal of Dermatology』で研究者は、「栄養豊富なアロエジェルは、表皮細胞を安定させることで肌を柔らかくする」という研究結果を紹介しています。またさらに、「アミノ酸は硬くなった皮膚細胞を柔らかくし、亜鉛が収斂剤として作用して毛穴を引き締める」という結果も報告されています。
アロエには、肌が他の成分を吸収することを促進してくれる高分子のフェノール性化合物「リグニン」のような高吸収素材として期待できる成分が含まれていることがわかっています。なので、スキンケア製品としての効能も、大きく期待できるわけです。
【6】消化促進 ― アロエを食べる
アロエには、便秘解消効果も期待できます。登録栄養士のレンハーさんによると、「アロエの外側には、便秘解消に効果のあるアントラキノンという化合物が含まれている」そうです。しかし、「アロエジュースの過剰摂取は、下痢や胃痙攣を起こすことがある」そうなので、注意しましょう。少量でも、十分な効果が期待できるそうです。
【7】カミソリ負け緩和 ― アロエを塗る
アロエに関してわれわれが最も理解していることは、「やけどを和らげる効果が、大いに期待できる」ことでしょう。そこには、カミソリ負けのような炎症を伴う症状も含まれていると言えます。
カミソリ負けは、カミソリが皮膚や毛根を傷つけて炎症を起こすもので、顔のムダ毛処理には避けて通ることぼできない現象とも言えます。ヒゲ剃りの後には、アロエジェルを塗ることで発疹を抑えるよう試みてください。多くの方にとって、「肌のバランスが取り戻せた」実感を得ることでしょう。つまり、赤みを軽減し、痛みを和らげ、カミソリ負けの症状も緩和させることが期待できるのです。
【8】水分補給 ― アロエを飲む
登録栄養士クラリッサ・レンハーさんは、「アロエの約95%が水でできているだけでなく、その中にマグネシウムやカリウムなどの電解質も含まれているので、運動後の水分補給時には特に効果が期待できます」と、言っています。
しかし、「アロエの効能の多くは果肉に含まれているので、アロエジュースに含まれている量はごくわずかなのです」とも言います。最も効果が期待できるのは、スキンケアとしての活用です。シャワーを浴びた後は肌にジェルを塗り、水分を体内に閉じ込めるといいでしょう。
【9】エイジングケアに関する事項 ― アロエを塗る
アロエに含まれているステロールには、「コラーゲンとヒアルロン酸の生成を促進する効果が期待でき、肌に潤いある印象を与えてくれる」と言われています。
韓国で行われた小規模な研究では、低用量のアロエジェルを56日間使用した女性は、顔のシワと弾力性に「有意である」改善が見られました。さらに、目に見える老化の兆候の最大80%の原因と言われる紫外線(UV)によるダメージを、修復したという結果も報告されています。これは、試してみる価値はありそうです。
【10】ニキビ対策 ― アロエを塗る
吹き出物に効果のある、ニキビ治療薬のレチノイドとアロエジェルを同時に使用した場合、それぞれを単体で使用したときに比べて、「優れた効果」が期待できる結果が研究によって導かれたことが、医学ジャーナル誌『ダーマトロジカル・トリートメント』に掲載されています。
アロエにはサリチル酸が含まれているので、抗菌・抗炎症作用が期待できます。また、ニキビの原因となるバクテリアを抑え、ストレスで荒れた肌を落ち着かせながら、赤みや炎症を抑えてくる役目を果たしてくれるでしょう。
◇注意事項:アロエの副作用について
現在、アロエを加工した製品は何千種類もありますが、そのすべてが健康への価値が期待できるものではありません。
アロエ…この植物は、古くから局所治療に用いられていて、一般的にはどのような形で使用しても安全であると考えられており、現在では錠剤・カプセル・粉末としても販売されています。しかし、すべてのものが効用や加工技術が保証されてはいないですし、副作用のリスクも高いので服用するには注意が必要です。事前に医師へ相談することをおすすめします。
またジュースやジェルに関しては、「長期間にわたって大量摂取すると、有害となる可能性がある」と指摘する研究者もいるため、控えめ(適量)にすべきでしょう。
また、この植物の葉を丸ごと使用したものに関しては、じんましんや喘息を引き起こす「ラテックス」が含まれている可能性があり、有害な副作用を引き起こす可能性があることも認識しておくべきでしょう。
ステロイド、インスリン、心臓病の薬などを服用している場合、アロエには身体が薬を吸収する能力を妨げる可能性もあるので、まずは医師に相談してください。持病をお持ちの方は、使用前にまずは医療専門家に相談することをおすすめします。
さらに、アロエの抽出物には強力な下剤効果があり、「下痢や胃痙攣を引き起こし、カリウムが大量に失われてしまう可能性もある」と言われています。いくつかの動物実験では、「アロエの葉全体を摂取すると、大腸がんを引き起こす」ことが示された結果も出ていますが、このことが人間にも起こりうるものかどうかは、まだ明らかになっていません。
これに関しては、アロエの皮と透明なゼリー質との間にある、ドロリとした液体を黄色にしている「アロイン」が発がん性に関与していると考えられています。大量に摂取すると腎不全を引き起こす可能性もあるため、内容表示を確認して精製済み(または脱色済み)と記載されているものを選んでください。
Source / Men's Health US
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。
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からの記事と詳細 ( 健康へと導く「アロエ」、10の効果と使い方「食べる、飲む、肌に塗る」 - Esquire )
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