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Friday, October 29, 2021

酒器の世界 無限大 - 読売新聞

 みなさま、日本酒は何で飲みますか? 焼き物の 徳利とっくり とお 猪口ちょこ が一般的というイメージですが、形や素材によっては組み合わせが無限となる酒器。「2021 Miss SAKE」の愛知県立大4年松崎 未侑みゆ (愛知県半田市出身)が、「酒器一つで味わいが変わる日本酒」の奥深い世界にみなさまをいざないます。

 先日、世界的グラスメーカー「リーデル」(本社・オーストリア)のイベントで、ワイングラスでの日本酒飲み比べをさせていただきました。ブドウの品種や生産地ごとに、それぞれのポテンシャルを最大限引き出すべく開発されたワイングラスは140種類以上。

 このイベントで、私の“グランプリ”は「ヴィノム ピノ・ノワール」用グラスで飲む山崎合資会社(愛知県西尾市)の「奥 十年低温熟成」でした。このお酒は味わいが濃厚で熟成香もしっかりしているので、底が丸く、口に触れる部分がシャープにすぼまっている形がぴったり! こちらと比較すると、普通の白ワイングラスでは、味わいも香りも行き場をなくしているように感じてしまうほどでした。

 酒器による味わいの変化を一つの器で楽しめるのが、岐阜県土岐市に青白磁の工房を持つ焼き物作家、山田晋一朗さんのロクロの平盃です。全て手作りでどれも形が異なることから、口の当たる部分によって酒器の厚さや角度、酸素を取り込む度合いが変わり、1杯の日本酒が様々な表情を見せます。

 この器で味わっていただきたいのが、山盛酒造(名古屋市緑区)の「鷹の夢 純米大吟醸」。大変きれいな造りで澄んだ味わいの純米大吟醸の表情の変化をお楽しみください。

 さらに すず をご紹介。きらびやかな金銀色の酒器を見たことがある人もいるのではないでしょうか。錫は見た目が美しいだけでなく、日本酒の味わいもまろやかにしてくれます。その秘密は、錫由来の甘くフルーティーな芳香と、錫のイオン効果による浄化作用です。

 気品漂うこの酒器では、華麗な御殿を連想させる金虎酒造(名古屋市北区)の「大吟醸 名古屋城本丸御殿」を堪能されてはいかがでしょうか。

 「2021 Miss SAKE」岐阜代表の名古屋外国語大4年 小粥おがゆ 瞳(岐阜県海津市出身)が、岐阜の酒器をご紹介します。

 岐阜県の伝統工芸品である美濃焼の器で日本酒をいただくと、厚みのある飲み口によって、お酒が優しく舌に伝わってきます。甘口のお酒はより甘く、味の濃厚なお酒はマイルドにしてくれます。また、陶器は土でできているため、同じ自然素材の米と水から造られる日本酒とよくなじむとも言われています。

 一方、「無味無臭」のガラスの酒器は、日本酒の繊細な味わいを感じることができます。

 今回使用したのは、岐阜県多治見市の「片岡ケース製作所月光工房」で作られている「月光グラス」です。このグラスには特殊な蓄光材が使用されており、暗い所で光るため、視覚でも楽しめます。

 酒器とは様々な出会いがあります。みなさまもご自宅で、ワイングラスやお猪口を変えながら日本酒を楽しんでみては。旅先で、新しい酒器と日本酒を調達してみるのもいいかもしれませんね。

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