【秋田】国防上重要な新型兵器を配備する「適地」が、なぜ住宅密集地の隣なのか。この点が問題であり続けてきたイージス・アショア計画は、その疑問が解けないまま1年半前に突然、配備断念に至った。23日の住民説明会でも防衛省側は正面から答えず、疑問は残り、住民の不信も解消されていない。
配備候補地となった陸上自衛隊新屋演習場の近くに住む伊藤正通さん(70)は、計画浮上から2年ほどは胃が痛くなるような日々だったという。イージス・アショアのような防衛施設は有事の際に標的になる恐れがある。多数のミサイルが同時に発射される可能性もあり、「日本が敵の攻撃から国土を守ろうとしてもおのずと限界があるし、ミサイルの撃ち漏らしも出るだろう」。地元は不安を抱え、説明会では住民から「候補地選定で住民の命というファクター(要素)はなかったのか」という質問が出たが、防衛省側は明確に答えなかった。住民の基本認識と、防衛省側の認識とのギャップが縮まっていないと感じたという。
秋田市東通2丁目の伊藤耕作さん(77)は、同省の決めた説明会の開催時期、開催場所に怒りを覚えたという。「ここは駐車場の数が少なくバスの便も悪い。説明会に行くのをあきらめた人もいただろう。年末、しかも山口県では5回の説明会に対し秋田県は1回だけ。県民をバカにしている。1回だけの謝罪で、この問題は一件落着ということなのだろう」と話した。
説明会では、二度とここにイージス・アショアのような防衛施設を設けないことを確約するよう求める意見が住民から出た。同省側は、「新屋演習場にアショアを配備する計画はもうない」と述べたが、今後、アショア以外の施設が演習場にできる可能性については触れなかった。
伊藤耕作さんは「沖縄が基地問題で苦労しているように、防衛省は国の防衛のために必要だと考えれば、何でもやってくる。そのとき住民が反対しても聞き入れてもらえるとは思えない」と不信を口にした。
住宅地の近くが配備候補地になったことへの防衛省の説明が不十分との住民の反応について、佐竹敬久知事は24日の記者会見で「あの方々は『上から言われたので、非常にざっぱくに決めた』とは言えない」と、説明に来た事務方の限界を指摘した。
佐竹知事は、2017年11月の日米首脳会談で日本へのイージス・アショア導入が決まった後、防衛省は財務省に予算要求するため、現地の状況を精査せずに候補地を新屋に決めたとの見方を示した。自らの面会の経験から、当時の官房長官や防衛相、防衛政務官は、候補地のすぐ近くに住宅街があることを知らなかったと指摘した。(佐藤仁彦、高橋杏璃)
防衛省「県や市に説明」→否定される
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