飲んでつまんで、楽しくなって度を越して。二日酔いの経験、酒好きなら誰しもあるんじゃないでしょうか。そんな朝、みなさんは何を欲しますか? 料理研究家のきじまりゅうたさんが、ちょっと意外なものを教えてくれました。聞き手はフードライターの白央篤司さんです。
二日酔いの朝もしっかり食べる派です
白 しかしいい笑顔で飲みますねえ、きじまさん。
き お酒大好きなんですよ! 晩酌は日課です。
白 つい飲み過ぎて、二日酔いになることは?
き うーん、週のうち2~3日は二日酔いかもしれない(笑)。
白 そんなにかい! 起き抜け、欲するものってありませんか。
き まずは水分なんですけど、二日酔いの朝に必ず食べるものがあって。それが、「たまごかけごはん+ポン酢」なんですよ。
き 食べたほうが復活が早い、ってのが自分の経験上あって。たまごかけごはんは元々好きなんです。二日酔いの朝って、酸味を欲するじゃないですか。
白 分かります。その酸味が、あの気持ち悪い感じをしばし抑えてくれる。
き ポン酢も、そんな感じの役割を担ってくれる。たまごかけごはんにポン酢加えると、食欲なくてもスルスルッと入るんですよ。ごはんが液体に近い感覚になる。
白 たまごかけごはんって、確かにサラサラ体に入っていきますよね。それが倍化する感じかな、やってみます!
ポン酢は自家製、きじま流作り方
き 自家製のを使ってます。その時々にある柑橘と醤油で。みかんでやっても、なかなかおいしいんですよ。レモンだとちょっと強すぎるんですけどね。あとは醤油と酢で。
白 割合、教えてくれませんか。
き こちらです!
【きじま流ポン酢の割合】
白 分かりやすくていいですねー。やってみよう。スダチとかカボス、ユズ果汁なんかで、季節ごとにあるものでやるわけですね。醤油:酢:柑橘果汁=2:1:1
き そうそう、青果売り場に行くと、ちょっと皮が傷ついて安くなってるのなんかあるじゃないですか。そういうの使うといいですね。柑橘の酸味が強かったら、みりんを加えてもいいですよ。気軽に作って楽しんでます。
白 以前グレープフルーツでやったことあるんですけど、甘めですがなかなかおいしくできました。
若き日の「二日酔いの朝に欲するもの」
き 20代の頃はね、二日酔いの朝はカツカレーだったの。
白 朝から!!
き 当時勤めてた会社の社長がマッチョな人でね、ものすごく体育会系で。「二日酔い⁉ そんなときこそ荒療治だ!!」って、二日酔いの社員がいるとカツカレー買ってくるんですよ(笑)。
白 まさか「二日酔いにカツ!」とか、そんな理由でかな。
き まさにそれそれ(笑)。でも、やってみたら意外と良かったんです。無理やり体が目覚める感じで。
白 読者のみなさん、あんま真似しないでくださいね。
き でもやっぱりだんだんつらくなって、カレーだけになりました。
白 ああ、朝カレーはいいですね。「元気出していくぞ!」ってなときは特に。
き あと二日酔いの朝じゃないんですけど、家飲みのシメの定番があるんですよ。「シメ汁」って呼んでるんですけど。
白 何それ、知りたい。
き シメにラーメン食べたくなるじゃないですか、飲んでると。あれって「塩気とうま味のあるあったかい汁が欲しいだけだな」と気づいて。だから、めんつゆをお湯で割って飲むんです。あるいは鰹節と梅干し入れたお湯を飲む。
白 え、後者のほう、私が二日酔いの朝に欲するものそのまんまですよ。
白 なるほど、二日酔いになる前に、寝る前に飲むのもいいかもなあ。これも今度試してみますね。
レシピを考案しつつの晩酌タイム
き えーっと…起きるのは朝9時ぐらいですね。俺、寝起き悪いんっすよー! 1時間ぐらいボーッと布団の中で過ごして、大体10時から18時くらいまでが仕事時間ですね。
白 雑誌の撮影をしたり、テレビ出演やイベント仕事なんかをしたり。
き それで妻が大体18時ごろ仕事から帰ってくるんです。メシ当番は僕なんで、料理作って。飲み始めるのはここから。
白 片づけもきじまさん?
き それは妻の担当で。で、21時とか22時ぐらいで向こうは寝ちゃうんですよ。そこからまた、Youtubeチャンネル(チャンネル名「きじまごはん」)の編集とか、レシピ考案なんかをやっていくんです。ここでまた飲みながらやることが多いかなあ。
白 何飲むことが多いんですか?
き 最近は芋焼酎、『黒霧島』が定番っす。寒いときはお湯割りだけど、夏は炭酸割りで!
白 ああ、芋焼酎の炭酸割りうまいですよねえ。飲みつつレシピを考えるのって、はかどりますか。
き はかどりますよ。朝読み返してみると「訳分かんねえなッ!」ってこともあるけど(笑)。
白 ははは、それも分かる。きじまさんって、料理研究家になる前はアパレル会社勤務だったでしょう。その時代が今に役立ってることなんて、ありますか。
き これがね、レシピ考案にものすごーく役立ってて。というのは、仕事の組み立て方が似てるんです。アパレルだとまずシーズンごとに(販売する服の)テーマを決める。そこからデザインの大元のイメージを決めて、次は服の素材などのディテールを決めて…と考えていく。これって、季節ごとのレシピを考えるのと展開的に似てるんです。
白 なるほど、レシピページも季節ごとの大きなテーマがあって、その中で「若い人向けにがっつり」「大人の女性向け」とかブランチが分かれていって、特集の核となる食材はどうするか…みたいに考えていきますもんね。
き 「あ、昔やってたことが応用できるな」って。アパレル時代の仕事は、頭の中の引き出しを開ける練習になってたと思います。
***
この後も飲みつつ、きじまさんにお酒や料理に関することをあれこれうかがい、お互いに飲み過ぎて翌日はともども二日酔いになりました…というのが今回のオチです。きじまさん、いろいろありがとうございました!
ちなみに「ポン酢+たまごかけごはん」、二日酔いの朝もスッキリ食べられて、確かにいいものでしたよ。今後うちでも定番になりそうです。
※記事の情報は2022年6月15日時点のものです。
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