「ERP」の概要とメリットやデメリットとは?
経済産業省がDXを推進していることもあり、多くの企業がDXに注目しています。DXとは、デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革する考え方です。ERPは、こうしたDXの推進に効果的なシステムです。
しかし、「ERPとはどのようなもの?」「ERPを導入するメリットはあるの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。
そこで今回は、ERPの概要とメリットやデメリットを解説します。
ERPとは?
ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略で、企業の中核を担う役割がある基幹システムを一つにまとめたパッケージシステムのことです。基幹システムとしては、「会計・人事給与・販売管理・生産管理・在庫管理」などがあげられます。
ERPは、それぞれのシステムが同じデータベースを参照して作られているため、システム間の連携がリアルタイムで実施されます。他にも、ERPによってはクラウドで提供されているものもあるため、運用コストの削減もできるでしょう。
ERPと個別パッケージの違い
ERPは、複数のパッケージが一つにまとまっている製品です。では、個別で導入するパッケージと比べてどのような違いがあるのでしょうか?
ERPと個別パッケージには、主に以下3つの違いがあります。
・システム連携部分
・カスタマイズ性
・メンテナンス性
1.システム連携部分
ERPは、全てのパッケージが同じデータベースを参照しているため、新規作成や更新などの処理が発生するとリアルタイムで結果が反映されます。したがって、いつシステムへアクセスしたとしても、常に最新の状態が表示されているのです。
一方で、個別パッケージはそれぞれ別のデータベースで構成されるケースが多いため、システム間を連携させる必要があります。連携するにはシステム間をAPI経由でアクセスさせたり、CSVを吐き出して別のシステムへ取り込んだりするなどの手間が発生してしまいます。
2.カスタマイズ性
ERPの場合は標準的な業務が決められているため、できる限りカスタマイズをしないようにするのが推奨されています。カスタマイズをするよりも、現在の業務をERP側に合わせるといった対策も必要となってくるでしょう。
個別パッケージは現業務に合わせて作りこむ形式が多いため、カスタマイズ性がERPと比べて高くなりやすいです。したがって、現業務を変えずに運用ができるためユーザーにとっても利便性が高いというメリットがあります。しかし、カスタマイズを加えると業務の標準化が難しく、属人化が進む可能性が出てくるでしょう。
3.メンテナンス性
ERPは、全てのシステムが同じ基盤の上で動いているため、OSやソフトウェアのアップデート作業などが1回で完了できます。最近では、サービスの利用だけに集中できる「SaaS」形態のERPも増えているため、メンテナンスの手間が少なくなっています。
個別パッケージは、それぞれのシステムごとに違う基盤を利用するケースが多くなってしまうため、個別でのメンテナンスが必要不可欠です。また、システムの作り込みをしすぎてしまうと、サーバーなどのメンテナンスを自社で行うことが多いため、管理にかかるコストが高くなってしまいます。
ERPのメリット
ERPには、主に以下4つのメリットがあります。
・情報の一元管理ができる
・データ活用の基盤が整う
・業務フローの見直しができる
・業務の属人化を減らせる
メリット1:情報の一元管理ができる
ERPは全てのパッケージで同じデータベースを利用しているため、情報の一元管理ができます。情報の一元管理により、リアルタイムにデータの確認が可能です。
例えば、製造業で在庫管理のパッケージを利用するとしましょう。在庫管理では、それぞれの工程ごとにどのくらいの在庫があるのかを管理します。在庫情報をリアルタイムに把握することで、前工程と次工程の間での在庫数の確認などのやり取りが減少し、よりスムーズに業務を行っていけるでしょう。
メリット2:データ活用の基盤が整う
情報の一元管理ができることで、集約されたデータを活用することができます。データ活用としては、企業の経営戦略に役立てたり、マーケティング戦略の判断材料に役立てたりするのが効果的です。
データを活用するためには、BIツールと呼ばれるものを利用することで、ユーザー自身が必要な情報を好きなように取得できる環境が整います。
メリット3:業務フローの見直しができる
ERPの導入は、現業務に無駄がないかを見直せる良い機会になります。業務をしていると、現在の業務を正として物事を判断しがちになってしまうものです。しかし、業務の中には無駄な作業があるため、他のやり方に変えることで効率化できることもあります。
ERPは標準的な業務モデルをシステムに置き換えているため、その業務におけるベストプラクティスをそのまま踏襲できます。そのため、ERPで現業務を実現できるのかという視点で判断するのではなく、現業務を少しでも改革できないかという視点でERPの導入を進めるのが効果的です。
メリット4:業務の属人化を減らせる
ERPは、標準的な業務モデルがベースになったシステムであるため、利用者が理解しやすく業務の属人化も防げます。
カスタマイズを加えて作った個別パッケージの場合は、特有の仕組みが導入されているため、システムの習熟者でなければ上手く利用できません。しかし、ERPは標準的なモデルに近いことで、基礎知識があればシステムの利用もしやすくなります。
ERPのデメリット
ERPには、メリットがある一方で以下のデメリットもあります。
・導入コストがかかる
・現業務を変えなければならないケースがある
デメリット1:導入コストがかかる
ERPは規模の大きなシステムになるため、導入や保守費用が高くなりやすいです。さらに、個別パッケージからERPシステムへリプレイスするときには、マスタデータの整理やシステム連携の見直しなどが必要になるため、人的なコストもかかります。
しかし、どのシステムを導入するにしてもコストは発生するため、ERPのメリットを考えれば費用面や人的なコストが発生するのは仕方がないでしょう。
デメリット2:現業務を変えなければならないケースがある
メリットで解説した通り、ERPは標準的な業務モデルをベースに作られたシステムであるため、現在の業務をERPに合わせる必要性が出てきます。
ERPはシステムのロジックに関わるカスタマイズが難しいため、どうしても現業務の運用を一部変更しなければならないケースも出てきます。そのため、現業務を見直す意味でもERPの導入を進めるのが良いでしょう。
まとめ
ERPは、基幹システムが一つにまとまったパッケージです。
個別パッケージのシステムと比べて統合的にデータが管理できるため、リアルタイムでの情報共有やデータ活用がしやすくなるでしょう。
しかし、ERP導入に伴うコストが大きく発生してしまうため、導入時には社内全体で推進していく必要があります。これから社内システムを刷新したいと考えている方は、ERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
文/長谷川貴之
編集/inox.
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