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Tuesday, July 12, 2022

僕が若い頃に飲んだ思い出のワイン【玉村豊男とNAGANO WINEの30年】〈番外編②〉|信濃毎日新聞デジタル - 信濃毎日新聞デジタル

 僕はフランス留学時代にワインを知って、ワインを覚えて1970年に帰国しました。ところが日本ではワインがなかなか手に入らない。デパートのフェアで1本400円台のワインを買いましたが、飲めたものじゃなかった。それでいろいろ探しました。

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■明治屋でポール・マッソンを買う

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 当時、スーパーの明治屋がアメリカ・カリフォルニアのポール・マッソンを扱っていて、1本780円くらいでした。一番安くて、そこそこ飲める。シャブリ(※)をはじめ何種類もあって、ほぼ毎日飲んでました。

 当時、年収200万円くらいの僕が、780円のワインを週に5本くらい飲んでいたんですから、ワイン・エンゲル係数はすごく高かった。フリーライターで時間はあるから、朝から自分で料理を作って、ワインを飲んで。今は千円台でもおいしいワインがいっぱいありますが、当時はなくて、ずっと安くてうまいワインを探していましたね。

 ワインを出すレストランはありましたけれど、日が当たる場所に飾っていて全然平気だったり。名の知られたレストランで飲んだら、半分腐っているみたいな味。「これ変だよ。すごく酸っぱい」と言ったら、「酸味が特徴だ」と言われました。それで通る、客が引き下がってしまうようなレベルだったんですよね。

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■十勝ワインとサドヤ

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 当時の日本のワインで一番記憶にあるのは、十勝ワインと山梨県のサドヤ(※)。サドヤのワインはヨーロッパ系品種のブドウから造った高級ワイン。ワラジムシみたいなマークの「シャトーブリヤン」という銘柄は、3000円もした超高級ワインで、おいしかったですよね。

 十勝ワインは、北海道池田町の当時の丸谷金保町長(※)が1960(昭和35)年ごろから、地域起こしとして発案したんですね。東京駅八重洲口の近くに十勝ワインの店があって、学生時代によく行きました。

 十勝は寒すぎて、ヤマブドウしか成功していなかった。一部で東欧から輸入したワインを使っていたので問題になったこともありました。今は「清見」という品種に力を入れているようです。

 ワイン評論家の田辺由美さん(※)は、十勝ワインの祖と言える丸谷町長の娘さん。彼女が、自生するヤマブドウの交配種である「山幸」から高品質なワインを造ろうと頑張っています。

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■今はワイン3杯とウイスキーを少々

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 僕は若い頃から、もちろん中華料理を食べる時は紹興酒を飲むし、日本料理の時には日本酒を飲みますが、洋食が一番多いのでやっぱりワインを飲むことが多かったですね。肝炎になる前は食後にジンかラムを飲みながら深夜まで原稿を書いていましたが、いまは午後5時以降は仕事をせず、食事のときにワインを3杯くらい飲んで、夜寝る前にウィスキーを少々。酒量はめっきり減りました。

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編集部の注釈

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〈シャブリ〉フランス・ブルゴーニュ地方にある地名であり、そこでシャルドネから造られる白ワインの名前。かつて米カリフォルニア産ワインは、「シャブリ」「シャンパン」など名産地の名前を付けた品が広く販売されていた。米国とEUとの協定で2006年以降は禁止に。それ以前から販売されてきたワインは条件付きで名称使用が認められている

〈サドヤ〉本社は甲府市。江戸時代から続く佐渡屋の6代目今井精三が1917(大正6)年、ワインの醸造販売を手がけるサドヤを創業した。36(昭和11)年、フランスから苗木を導入し、甲府市の善光寺地域に開墾したサドヤ農場で栽培を開始。「シャトーブリヤン」は46年醸造のワインを50年に発売したのが始まり。現在、長野県高山村産のシャルドネを醸した「高山村シャルドネ」も高い評価を受けている

〈丸谷金保〉まるたに・かねやす。1919-2014年。十勝日日新聞編集長などを経て、池田町長を1957-76年の5期務める。77年から参院議員を2期務めた。本人の遺志で、同町清見にある墓地に土葬され、ひつぎには十勝ワインが注がれた

〈田辺由美〉たなべ・ゆみ。丸谷金保氏の次女。1992年から主宰する「田辺由美のワインスクール」は受講者が1万人を超え、ソムリエが数多く誕生している。2009年、フランス農事功労章を受章。2014年から、女性の視点でワインを審査する「Japan Women’s Wine Awards(サクラアワード)」を主催

〈山幸〉十勝地方に自生するヤマブドウ「アムレンシス」と清見の交配種

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 次回は長野県のワイン造りです。今と未来も語ります。

■【玉村豊男とNAGANO WINEの30年】記事一覧はこちら

https://www.shinmai.co.jp/news/list/tamamuratoyoo_30nen

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