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Wednesday, October 12, 2022

依存症の更生施設、開設巡り「事前の説明が不十分」 施設側と住民、折り合いつかず 尼崎 - 神戸新聞NEXT

 薬物やアルコールなどの依存症患者の支援施設「阪神ダルク」(兵庫県尼崎市築地5)の開設を巡り、施設側と地域住民で折り合いがつかない事態になっている。住民側は施設の事前説明が不十分として尼崎市にグループホームの指定申請を却下するよう求めており、施設側は15日に地元説明会を開く予定だ。市は「法律的な問題はないが、地域との連携は必要」と指定を見合わせている。(村上貴浩)

 ダルクは、NPO法人「日本ダルク」が医療、福祉機関と連携して全国展開しており、県内には既に神戸、姫路市に支援施設がある。阪神ダルクは一般社団法人「かえでの会」が立ち上げて今夏、最大4人の当事者が暮らす計画で、3階建て物件に賃貸契約を結んだ。障害者総合支援法に基づき、10月ごろには市からグループホームとして指定される予定だった。

 発端は7月1日、法人は開設の趣旨を交流サイトに投稿した上で、周辺の数軒を回って「グループホームを作ります」と説明した。

 これに対し、自治組織「築地連協」は8月20日の会合に施設側代表の出席を要請。住民らは施設がダルクであることは投稿で初めて知ったとし、事前の説明不足を追及したという。

 施設側代表は説明の重要性は認めつつ、市の指定手続きや消防工事の終了後にする予定だったとした。

 さらに住民側が問題視しているのが、施設側が指定前に男性1人を入居させており、その男性が万引事件で逮捕されたことだという。

 施設側は指定前の入居には「市との事前協議があり、問題はない」と説明。事件には「男性は市販の風邪薬を乱用していた。プライバシーもあり、明確には説明しなかった」とした。

 この結果、20日の会合で議論は平行線に。住民らは26日、尼崎市長に宛てて要望書を提出し、指定申請を却下するか、もしくは住民との協議が終わるまで指定を保留するよう求めた。

 市は「国の基準に従って指定を出すので止めることはできない」としつつ「施設側にはしっかりと説明するよう指導した」とし、双方の協議を促している。

 住民側の男性(76)は「社会におけるダルクの重要性は十分に理解している。しかし、こちらの要求でしか説明していないこともあり、法人の対応に不信感がある」と話す。

 かえでの会の浜津太一代表は「依存症とひとくくりに言っても凶悪な犯罪者ばかりではない。真面目に社会復帰しようとしている人がいることを見て、知ってもらうこともダルクの役割だと思っている」とする。

 現在、施設に利用者はおらず、新規の受け入れも停止している。

     ◇

【ダルク(DARC)】ドラッグ・アディクション・リハビリテーション・センターの略で、グループディスカッションなどを通じて依存症からの回復を支援する民間施設。1985年、東京都荒川区で自身も薬物依存症だった近藤恒夫氏が始め、全国に約70施設がある。

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