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Wednesday, December 7, 2022

北陸電 料金上げ申請 効率化、丁寧な説明尽くせ | 経済,社会 | 論説 - 福井新聞

2022年12月8日 午前7時30分

 【論説】家庭向けを含む電気料金の「規制料金」について、北陸電力が平均45%超の値上げを国に申請した。値上げ幅の根拠や同社の経営効率化などが認可されれば、43年ぶりに来年4月から値上げが実施される。

 今回の申請の対象は一般家庭の半数近くが契約する「規制料金」。法人向けや深夜割引など電力各社が独自に設定する「自由料金」については近く申請する見通しだ。

 値上げの理由は、ロシアのウクライナ侵攻や円安などにより燃料費上昇分を料金に反映させる「燃料費調整額」が今年2月に上限に達し、価格転嫁できずに経営を圧迫し続けたためだ。

 発電の多くを火力に頼る北陸電は石炭価格の高騰が直撃、2023年3月期の経常損益は1千億円の赤字となる見込みだ。このままいけば電力の供給自体に影響を与えかねないとして、今回の抜本値上げ申請となった。

 過去最悪の経営状況となったとはいえ、45%超もの大幅値上げは物価高に苦しむ一般家庭にとって簡単に首肯できるものではない。今月21日から福井や金沢、富山の3会場を皮切りに開く説明会では、生活を支える電力事業者として利用者に丁寧な説明を尽くさなければならない。

 さらに今後続く自由料金は法人なども含まれており、上げ幅次第では地域経済への影響も計り知れない。既にこれまでの値上げ分だけで多くの企業が悲鳴を上げている。これらの企業が納得できる説明をしてほしい。

 経済産業省は来年2月に公聴会を開くことを決めた。消費者から意見陳述を求めており、経費削減などの効率化についても十分な説明が必要となるだろう。

 国による審査も、経営効率化を徹底させているかなどが対象となる。北陸電は、東日本大震災後に取り組んだ効率化366億円に加え、役員報酬減やAI活用などで新たに132億円の経費削減を行うという。

 これらの努力でどこまで消費者や国の理解を得られるか。自由料金の値上げにしてもあまりに大きい改定幅だと、電力自由化の中で顧客離れを引き起こす可能性がないとも言えない。

 一方で、経費削減に注力するあまり設備に不具合が続発するような状況は避けなければならない。環境面からも脱炭素や再生可能エネルギー導入拡大をはじめ、高効率な設備開発などの歩を休めてはならない。

 電力各社には難しいかじ取りが迫られるが、インフラを預かる企業として力を尽くす時だ。

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