2019年参院選を巡る選挙違反疑惑の発覚から約8カ月。前法相で衆院議員の河井克行容疑者（57）と妻で参院議員の案里容疑者（46）＝いずれも自民党を離党＝が18日、公職選挙法違反（買収）の疑いで逮捕された。広島県内では説明責任を果たさない夫妻にいらだちを募らせる有権者がいる一方、再起を求める声も上がった。【池田一生、関東晋慈、手呂内朱梨、渕脇直樹】
怒気をはらんだ声で県議会の中本隆志議長が言った。「夫妻には憤りを感じる。県政を混乱に陥らせたことを重く受け止め、辞職されるのが賢明だ」
中本議長が副会長を務める自民党県連は、19年参院選の広島選挙区（改選数2）で、所属する地方議員の大半が溝手顕正・元防災担当相を支援した。2議席独占を狙い、県連の頭越しに党本部が擁立した案里容疑者とは保守票を奪い合う形となり、6選を目指した溝手氏は落選している。
そうした経緯を踏まえ、中本議長は「（県連の）言葉を無視して案里議員を公認し、こうした結果になったのは残念だ」と指摘。そのうえで「私たちも反省し、ふさわしい候補を選んで信頼を回復していきたい」と述べた。
捜査中を理由に、夫妻は事件について沈黙を続けてきた。国会議員としての説明を尽くさない姿勢には、有権者の信任を得て自治体のトップに就いた首長から批判が相次いだ。
記者団の取材に応じた湯崎英彦知事は「説明責任を果たさないのは、仁義にもとる言語道断の姿勢だ。県民をばかにしたような状態で釈然としない」と断じた。福山市の枝広直幹市長も「何も語らないまま今日を迎えたのは、県民の信頼を裏切ったということ。特に両議員に投票した有権者は、残念に思っているはずだ」と語った。
一方では、夫妻から現金を受け取ったとされる地方議員もいる。参院選のあった19年には統一地方選も実施されており「当選祝い」や「陣中見舞い」だったとの指摘もあるが、広島市議会の山田春男議長は「個々の議員も地域で説明責任を果たしていかねばならない」と襟をただした。
有権者「議員辞職を」「再起に期待」
有権者の反応は分かれた。広島市南区に住む無職の女性（69）は「ここに至ってなぜ夫妻は議員辞職しないのか不思議だ」と突き放す。一方、19年参院選で案里容疑者に投票した尾道市西土堂町の会社員、高橋幸孝さん（55）は選挙期間中に聞いた街頭演説で「今までなかった政治家だ」と思ったという。案里容疑者の逮捕には失望していないといい「まだ若く、消えてしまうのは惜しい」と再起に期待した。
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June 19, 2020 at 08:03AM
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広島知事「説明責任を果たさず、仁義にもとる」 河井夫妻逮捕 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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