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Wednesday, February 10, 2021

バルセロナを粉砕! セビージャの超攻撃的CBはまるでセルヒオ・ラモス。178cmでも活躍できる理由とは?【分析コラム】 - フットボールチャンネル

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コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)準決勝1stレグ、セビージャ対バルセロナが現地時間10日に行われ、2-0でセビージャが先勝した。両チームともに慎重な入りとなった試合のスコアを動かしたのは、センターバックのスーパーゴール。22歳のジュール・クンデは小柄だが、センターバックとして素晴らしい能力を持っている。(文:加藤健一)

2021年02月11日(Thu)10時19分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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CBが決めたメッシのようなゴール

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【写真:Getty Images】

 両チームともに2ndレグを見据え、慎重な試合運びとなった。バルセロナがボールを動かしたが、セビージャは横幅をコンパクトにして守備を固める。セビージャはボールを奪っても、速攻から遅攻へと移行する判断が早かった。

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 得てしてカップ戦の1stレグはリスクを冒さない試合になることが多い。17/18シーズンまで同大会を4連覇したバルセロナは過去10シーズンで8度も決勝に駒を進めている。対するセビージャもUEFAヨーロッパリーグ(EL)3連覇を達成し、昨季もELを制覇。監督経験の豊富なロナルド・クーマンとフレン・ロペテギであれば、堅い試合展開になると予想していた。

 そんな予想をセビージャのジュール・クンデは裏切った。

 25分、中盤からパスを最終ラインで受けたクンデは、そのまま右サイドを持ちあがる。いったんスソにボールを預けてリターンパスを受けると、セルヒオ・ブスケッツ、サミュエル・ウンティティをかわしてペナルティーエリアに侵入。オスカル・ミンゲサのシュートブロックが届かない位置にボールを置き、正確にゴールネットを揺らした。

 最終ラインからフィニッシュまで、ほとんど1人ですべてやってしまった。クンデはリオネル・メッシのようなゴールを「あれは試合前に練習するのが好きなシュートで、今日はうまくいったね」と振り返る。スーパーゴールを決めたクンデの本職はセンターバックである。

178cmのCBが活躍できる理由

 クンデがセビージャにやってきたのは昨シーズン。欧州きっての目利きで知られるモンチSDがセビージャに復帰して迎えた最初の移籍市場で獲得した選手の1人である。

 同時期に加入したジエゴ・カルロスとセンターバックコンビを組み、これまたモンチが招聘したロペテギの信頼を掴んだ。メンバーが大きく入れ替わったチームで4位に入り、ELでは4シーズンぶりの王者奪回に貢献した。

 フランスのパリ生まれで、ボルドーの下部組織出身。19歳のときにカップ戦でトップチームデビューを飾っている。このシーズンの後半戦にレギュラーに抜擢されると、翌シーズンはELでもプレー。慧眼のモンチの目に留まった。

 178cmという身長はセンターバックとしては小さい。しかし、クンデにはそのハンデを感じさせないほどの跳躍力がある。今季のラ・リーガでの空中戦勝率は56%。スペイン代表のパウ・トーレス(62%)やセルヒオ・ラモス(63%)と比べても遜色ない。空中戦に強いと言われる同僚のジエゴ・カルロスとは同率である。クンデが狙われることが多いが、同じ勝率なので穴になっていない。

 スピードのあるクンデがいるおかげで、セビージャはDFラインを高く保つことができる。DFラインが高ければ、ロングボールの競り合いに負けても大きな傷にはならない。裏を取られてもクンデのスピードがあればカバーできる。アトレティコ・マドリードに次ぐリーグ2位の16失点という数字がその能力の高さを示している。

まるでセルヒオ・ラモス

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【写真:Getty Images】

 サッカーはポリバレントな選手が重宝される時代である。FWにもディフェンス能力が求められ、GKにすら足元の技術が要求される。

 バルセロナのような個人の能力の高い選手たちにゴール前のスペースを埋められると、得点を決めるのは難しい。そこでクンデの攻撃性能の高さがバルセロナの守備を粉砕した。

 クンデがボールを持ったとき、近くにいたメッシはアプローチしたが、ボールがスソに出ると走るのをやめている。スソに対してはジョルディ・アルバとブスケッツが対応。ここリターンパスをもらったクンデはフリーになったが、アントワーヌ・グリーズマンもウンティティも監視しなければいけない選手がいた。結果的に対応が後手を踏み、クンデには最後まで誰も寄せきれなかった。

 攻撃面での貢献度の高さは、セビージャからレアル・マドリードへと羽ばたいたセルヒオ・ラモスを彷彿とさせる。セルヒオ・ラモスも184cmと決して大柄ではないが、空中戦の強さと正確なフィードを武器にしており、クンデと同じように攻撃参加することも多い。

 前線の選手は常に相手に監視されている。一方、どちらかのセンターバックはフリーになる状況が多い。メッシが守備をしないバルセロナであれば、両センターバックがフリーになることも多い。クンデの攻撃参加はリスクもあるが、その分リターンも大きい。

 もちろん、これだけの才能を持つクンデをビッグクラブが黙って見ているはずがない。昨夏にはマンチェスター・シティが獲得に乗り出し、ペップ・グアルディオラ監督とクンデがやり取りをする機会もあったという。シティ移籍は実現しなかったが、その後もセルヒオ・ラモスの後釜を探すレアル・マドリードを筆頭に、獲得の噂は絶えない。

 クンデが近い将来、さらに大きなクラブへとステップアップすることは間違いないだろう。センターバックの大型化が進む中、178cmのクンデは世界中の注目を集めている。

(文:加藤健一)

【了】

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