創業100周年のお祝いムードは、不祥事による社長辞任で吹き飛んだ。 三菱電機で、35年以上にわたる検査不正が発覚した。長崎製作所が製造する鉄道車両用の空調装置とブレーキなどを動かす空気圧縮機について、顧客との取り決めと異なる条件や方法で検査をしたり、開発時の検査結果を量産時に流用したりしていた。 【写真】辞任に追い込まれた三菱電機の社長 空調装置は1985年頃から、空気圧縮機も2006年からと長期にわたる不正だった。それどころか、検査結果が自然に見えるような架空のデータを生成する「専用プログラム」を使い、顧客に虚偽の報告をしていた。
■目立つその場しのぎの対応 不正の責任を取り杉山武史社長が辞任を表明。外部の弁護士らによる調査委員会を設置し事実調査と原因究明を行い、再発防止策を策定する。杉山社長は「組織的な不正だったと認めざるをえない」とする一方、安全性に問題はないと強調した。 顧客との契約を軽視し、長年不正を行っていたことも問題だが、問題解決への本気度が疑われるその場しのぎの対応も目立つ。 まずは不正の公表時期について。三菱電機が空調装置の検査不正を認識したのは6月14日。25日には経済産業省や顧客に報告を始めた。しかし、29日に開かれた定時株主総会ではこの件について触れることはなく、新聞報道後の30日になってようやく公表した。会見が開かれたのは7月2日だった。
杉山社長は、「不十分な説明で株主に不安を与えるのはふさわしくない」と釈明。公表しないとする執行役の判断を「株主総会前日に取締役会の皆さんにもお諮りした」と説明した。しかし実際には取締役会は開催されていなかった。翌3日に広報部が社長発言を訂正する異例の事態となった。 ほかにも、架空のデータの生成について当初は「転用」と説明したものの、ねつ造ではないかと追及されるとあっさり認めるなど、問題を小さく見せようとする小手先の説明に終始した。
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