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Sunday, July 18, 2021

障害者団体「強く抗議」 小山田圭吾さんのいじめ加害で声明 組織委員会に「重い説明責任」 - 東京新聞

全国手をつなぐ育成会連合会の声明

全国手をつなぐ育成会連合会の声明

 知的障害者の権利擁護と政策提言を行う一般社団法人「全国手をつなぐ育成会連合会」は18日、東京五輪開会式の楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが過去の雑誌インタビューで告白した学生時代のいじめに批判が集まっている問題について、公式サイトで声明を発表した。連合会は、知的障害者本人や親、支援者らで構成され、会員は約10万人。(デジタル編集部)

◆「理解に苦しむ」

 声明では「小山田氏のインタビュー記事は採録がためらわれるほどの凄惨な内容であり、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業」とし、「小山田氏の行為には強く抗議する」としている。

 さらに「なぜ小山田氏が自身を『いかなる差別も禁じる』としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます」と指摘。また「今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにも関わらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります」として、小山田氏と組織委員会に「真摯な説明」を求めている。

◆「楽しめない気持ちに」

 一方で、「すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません」としつつ、「今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたい」とつづっている。

 連合会の事務局、又村あおいさんは、今回の声明について「国際的なイベントに、五輪憲章に明らかに抵触する差別的な言動があり、雑誌で取り上げた人物が重要な役割でかかわることに、強く抗議すべきだとの声が会員から上がっている」と説明。「今後小山田さんや組織委員会からできる限り早く、真摯な説明がなかった場合は、さらに厳しい声明を出さざるをえない」としている。

 雑誌は1994年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」と95年8月発行の「クイック・ジャパン」。小山田氏が東京五輪の開会式で楽曲制作の担当に起用されたことで、インターネットなどで批判の声が上がり、小山田氏は16日に学生時代のいじめについて謝罪する文章をツイッターに投稿している。

 全国手をつなぐ育成会連合会の声明全文は次の通り。

 ◆小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作へ参加しているミュージシャンの 小山田 圭吾 氏に関する一連の報道について、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(以下「本会」という。)として次のとおり声明を発表いたします。

 新聞等の報道によると、小山田氏は私立の小中高一貫校に在学していた際、障害のあるクラスメイトに対し、筆舌に尽くしがたい苛烈ないじめ行為をしており、そのことを平成6年(1994年)および平成7年(1995年)の2回にわたり、異なる音楽雑誌のインタビューで赤裸々に語っていました。小山田氏自身も、公式サイトにおいていじめ行為があった事実を認めており、謝罪もしています。(ただし、あわせて音楽雑誌側に事実を誇張していた旨の主張もしています)

 今回の事案について、本会としては大きく以下の3点が重大な問題点であると認識しています。

(1)障害の有無に関わらず、いじめや虐待は許されるものではない
小山田氏のインタビュー記事は採録がためらわれるほどの凄惨な内容であり、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業です。このような行為は、たとえ学生という未成熟な年代であったとしても、許されるものではありません。しかも、そのターゲットが反撃される可能性が少ない障害のあるクラスメイトだったことも考え合わせると、小山田氏の行為には強く抗議するものです。

(2)小山田氏の行為は極めて露悪的である
上記のとおり小山田氏の行為は決して許されませんが、学生という年代であったことを考慮すると、行き過ぎた言動に走ってしまうことはあるかもしれません。
 
 しかし、そのことを成人して著名なミュージシャンとなった後に、わざわざ高名な音楽雑誌のインタビューで面白おかしく公表する必要性はなかったはずです。極めて露悪的と言わざるを得ません。しかも、インタビューでの発言では明らかに障害者を差別的に揶揄している部分も各所に見受けられ、少なくともインタビュー時点ではまったく反省していないばかりか、一種の武勇伝のように語っている様子が伺えます。

(3)なぜ小山田氏が楽曲提供担当となり、留任させることにしたのか
小山田氏の公式サイトによると、「過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかった」と明記されており、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加要請があった際にも、組織委員会に対していじめ加害者であったことは説明していなかったことが色濃く推測されます。

 あれだけ露悪的なインタビューが公表されているにも関わらず、なぜ小山田氏が自身を「いかなる差別も禁じる」としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます。同様に、そのような小山田氏を起用し、今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにも関わらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります。

 本会としては、すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません。

 しかし、今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたいと思います。

 小山田氏が露悪的であったことも含め心からの謝罪をしたのか、それとも楽曲提供に参画したい一心でその場しのぎで謝罪をしたのか、本会としては小山田氏の言動や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の動向について、今後も注視してまいります。

令和3年(2021年)7月18日
一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会
 会 長 久 保 厚 子

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