東京証券取引所の来春の市場再編をめぐり、最上位のプライム市場の基準を満たさない企業が対応を迫られている。市場に流通する株式の比率や時価総額を増やす必要があるからだ。「プライム落ち」は株価下落にもつながりかねず、上場への意思表示で先手を打つ企業も出てきた。
新市場の基準を満たしているかどうか、東証が各上場企業へ通知した9日。ゆうちょ銀行の担当者は、自社の流通株比率がプライム市場の基準(35%以上)に届いていないことを、東証のシステムで確認した。
親会社の日本郵政が株の89%を持ち、事前の試算だと流通株は約9%。プライムに次ぐスタンダードの基準(25%以上)も未達で、結果は予想通り。235の営業所を持ち、時価総額4兆円超の巨大企業だけに、福島克哉執行役(IR部長)は「規模からするとプライム。スタンダードにも上場できないようでは株主に説明できない」と話す。
適合に向けた計画書を開示すればプライムに「当分の間」上場できる経過措置を使うつもりだ。ただ、福島氏は「ずっと許される認識はまったくない」。保有比率を引き下げる日本郵政の方針を前提に、デジタル化などで企業価値を高め、株を売りやすい環境を整えるという。
東証が7月9日に通知した際、1部の3割の664社がプライムの基準に未達だった。流通株比率と時価総額100億円以上の二つの基準が高い壁になった。
ゆうちょ銀のように親会社のある企業はとりわけ流通株比率が低い。東証によると、親族なども合わせて議決権の過半数を占める支配株主がいる上場企業は28日時点で618社で、全体の16・5%に上る。うち335社は親会社だ。
基準達成のため、親会社など…
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