「自由が丘立ち飲みMAP」というハガキサイズの、三つ折り冊子がある。自由が丘の飲食店5店舗が自主制作したものだ。立ち飲みができる5店舗の特徴を、“晩酌イラストレーター”のkeikonbu(けいこんぶ)さんがイラストと描き文字で紹介している。
スタンプラリーの台紙にもなっている同MAPを3月中旬から配布した。特典が付いていることから酒飲みの間で人気上々だそうだ。
5店舗がなぜ同MAPを制作したのか。しかもなぜ立ち飲みなのか。同MAPを企画し、他店舗に提案した居酒屋『ニショク』の渡部武志さんと、おでんスタンド『でんやふじさわ』の藤沢佳子さんに話を聞いた。
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自由が丘の“夜”を盛り上げたい
自由が丘というといつもにぎわっているイメージがあるが、じつはそうではないという。
「自由が丘は“昼の街”だと外の人から思われています。パンやお菓子を買いに来る人も多く、美容院の数は都内屈指。ところが、夜は近隣の学芸大学と比較すると圧倒的に人が少ないのが現状です」(渡部さん)
「学芸大学や中目黒などほかのエリアから人を呼び込み、自由が丘の夜を盛り上げたい。そう思い、『立ち飲みMAP』企画を飲食店仲間に提案しました」(藤沢さん)
認知度を高めるためにも、大きな企画にするためにも複数の店舗とタッグを組む必要があったと2人は口をそろえる。とはいえ、競合店同士がタッグを組むことに躊躇しなかったのか。
「コロナ禍で営業時間が短縮されるなど、自分ではどうにもできないことがあることを否応なく学びました。目先の利益ばかりにとらわれていても仕方がありません。コロナ禍でそのことが飲食仲間との共通認識になりました」(藤沢さん)
「日々の売上も大切です。でも、5年先、10年先を見据えてビジネスを続けなければなりません。店のブランディングに『立ち飲みMAP』が一役買ってくれると信じています」(渡部さん)
イタリアンから立ち飲みもできる居酒屋に業態転換
渡部さんが立ち飲みもできる『ニショク』をオープンさせたのは2020年9月のことだ。それ以前は外苑前の地下1階で隠れ家的なイタリアンを営んでいた。コロナ禍直後の2020年4月に移転を決意。明るくて換気がよい物件で、近くに住宅街がある自由が丘を新天地に選んだ。
そしてもうひとつ。イタリアンから居酒屋に業態転換を図った。入口脇に20人が立ち飲み可能なカウンターを設置。1階奥にはカウンター席があり、2階にはカウンター席とテーブル席を設けた。
「毎日来られる価格帯にしたかったことから、立ち飲みはノーチャージ、アルコールは200円引きで提供しています」(渡部さん)
予約制から予約不要のカジュアルなおでんスタンドに
『でんやふじさわ』は、2013年の開業当初は立ち飲みではなかった。着物姿の藤沢さんがワンオペでコース料理を供する、カウンター6席のおでん屋だった(席数が少ないため。その後完全予約制に)。コロナ禍でデリバリーを始め、またゴーストレストランも展開。2021年10月、現在のおでんスタンドに業態転換した。
「コロナ禍では常連のお客様が応援の意味も込めてシャンパーニュなどを注文してくれました。おかげで6席1回転でも経営可能でした。ところが、コロナが収束する見通しが立たず、今後もお客様の心遣いをあてにして営業を続けることは難しいと判断。予約制からカジュアル路線に変更しました」(藤沢さん)
カウンターを高くして、敷居を下げた。着物をオリジナルTシャツに変更。おでんを中心にしたコース料理を、アラカルト(1品300円〜)に改めた。緊急事態宣言中、20時までの営業時間内にさっと飲んで帰るには立ち飲みが一番。集客数も見込めると判断したのだ。
ほぼ同じ時期に業態転換した渡部さんと『立ち飲みMAP』を企画。スタンドスタイルの『ヨカ』、ナチュラルワインとサラダなどを提供する『ケールの王様』、ワインバーを備えたワインショップ『ウィルトス自由が丘』が企画に賛同した。
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