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Friday, December 4, 2020

【臨時国会閉幕】説明軽視が継承された - 高知新聞

 菅義偉首相が就任後初めて国会論戦に臨んだ第203臨時国会はきのう事実上閉幕した。
 2050年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言し、行政のデジタル化に取り組む。こうした菅カラーを打ち出す個々の政策もさることながら、首相が説明責任とどう向き合うかが問われた国会でもあった。それほど安倍晋三前首相の強弁やはぐらかしが目に余ったわけだが、残念ながら説明軽視の姿勢が前政権から引き継がれたと言わざるを得ない。
 記者とのやりとりが生じる会見がきのう、ようやく開かれた。就任の時以来、国内では2回目というのではあまりにも少ない。
 自らの言葉で施策への理解を求めることは基本だ。新型コロナウイルス感染防止のための新方針などを一方的に発表しても、首相の思いはうかがえない。丁寧な説明をすることが「国民のために働く内閣」と国民との対話につながる。
 国会は、新型コロナ対策や「桜を見る会」疑惑解明など審議すべきことが多くあったが、野党の延長申し入れは与党などに否決された。補正予算案の編成はもちろん大切だ。しかし、それを理由に疑惑の早期幕引きを図ることとは相いれない。
 新型コロナ対策は、国民の健康を守りながら経済活動と両立させていかねばならない難題だ。通常医療の圧迫も懸念される。だれもがそれぞれの生活の場面で悩み、もがいている。困窮者や医療機関への支援、追加経済対策の在り方や妥当性への検証は欠かせない。
 政府の現状認識や見通しのメッセージはうまく届いているだろうか。観光支援事業「Go To トラベル」は、政府が抜本的な見直しに否定的な一方で、専門家は感染急増地域との往来をなるべく控えるように求めており分かりにくい。政府対応が後手に回ってはいらだちが募る。
 桜を見る会前日の夕食会を巡っては、安倍氏側による収支の差額補塡(ほてん)が判明し、後援会の収入・支出は一切ないとする安倍氏の国会答弁が覆った。東京地検特捜部は公設秘書の立件方針を固め、安倍氏本人の事情聴取を打診した。
 あらためて国会での説明を求めるのは当然のことだ。しかし、首相は再調査を拒否し、国会招致にも否定的だった。官房長官当時の発言を「誠実に答弁してきた」と述べ、事実関係の確認要求には捜査を理由に応じない。解明に対する姿勢は首相への信頼にも関わってくる。
 また、日本学術会議会員の任命拒否問題では、6人の候補任命を拒否した理由を「総合的、俯瞰(ふかん)的」と繰り返し、個別の人事は答えられないと詳細な説明を拒み続けた。一方で学術会議の在り方の見直しが検討されている。「論点ずらし」の批判があるように、拒否と会議の改革は別問題だ。
 野党も迫力不足は否めない。閉会中審査は追及が散発的になりがちなだけに本腰を入れる必要がある。

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December 05, 2020 at 06:00AM
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