2021年02月27日07時36分
菅義偉首相は26日、6府県を対象とする新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言先行解除に際し、通例となっている記者会見を開かなかった。国民に説明を尽くしたとは言い難く、首相の長男らから高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官に焦点が当たる事態を避けたいとの思惑がにじむ。与党からも「山田隠し」の意図を指摘する声が出た。
山田広報官、続投を表明 「深く反省」と陳謝―首相長男側の働き掛け否定・衆院委
◇前日の中止
「山田広報官のことは全く関係ない」。首相は正式の会見の代わりに首相官邸玄関ホールで行った記者団との受け答えの場で会見先送りの理由を問われ、無表情でこう断言した。山田氏を続投させる方針も改めて示した。
首相は昨年9月の就任後、緊急事態宣言の発令、対象拡大、延長に関する3回の政府方針決定時にいずれも会見しており、見送りは今回が初めて。安倍晋三前首相も在任中、節目で基本的に会見に臨んでいた経緯があり、政府は当初、26日の政府対策本部後に実施する方向で調整したが、前日夕に中止が決まった。
内閣記者会は26日、官邸報道室に同日中の開催を申し入れた。これに対し、官邸側は宣言の全面解除に至っていないことなどを理由に拒否。首相も記者団に「日本全体の見通しを明確に申し上げられる状況の中で会見すべきだ」と語り、首都圏4都県解除の時点で開く意向を示した。途中段階での発信は国民の「緩み」を招く可能性があるとの認識も示した。
◇くすぶる辞任論
総務省出身の山田氏は事務次官に次ぐ総務審議官当時の2019年11月、首相の長男ら「東北新社」関係者から約7万4000円に上る接待を受けた。給与の自主返納となったが、首相は山田氏の辞任を否定してきた。
ただ、内閣広報官は首相会見の司会進行役。26日は東北新社社長の引責辞任や首相長男の懲戒処分が発表されたタイミングだっただけに、実際に会見をしていれば、接待問題や山田氏を続投させた首相の判断をめぐり質問が続出する可能性があった。実際、記者団とのやりとりはこの形式では異例の18分に及んでおり、ある政府関係者は会見の先送りについて「山田氏の露出を抑えることも念頭にあった」と明かす。
こうした政府の対応には与党にも疑問の声が広がる。自民党の中堅は「首にしないなら表に出すべきだ。そうでないなら『山田隠し』と見られる」と批判。別の中堅は「山田氏は辞めるべきだ」と言い放った。
野党は次期衆院選をにらみ、政権のイメージダウンにつなげたい考え。立憲民主党の枝野幸男代表は26日、会見の先送りを「責任放棄」と断じ、共産党の田村智子政策委員長は「国民よりお気に入り官僚を守ることを優先させた」と非難した。
自らの足元で起きた接待問題は沈静化の見通しが立たない。「先ほどから同じような質問ばかりではないでしょうか」。首相は記者団とのやりとりを、いら立った様子でこう言って打ち切った。
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