政府は、東京都と神奈川、千葉、埼玉三県に発令している緊急事態宣言を二週間、延長することを決めた。感染を再び拡大させないためには、対策を徹底し、確実に抑え込まねばならない。
一都三県の新規感染者数は、減少傾向にあるとはいえ、その速度は鈍化している。
感染源が分からなかったり、クラスター(感染者集団)が発生しているのかさえ不明な例も多い。病床使用率が下がらず医療の負荷が減らない地域もある。夜間の人出も再び増加している。この状況で宣言を解除すれば、感染が再拡大する懸念は拭えない。
感染拡大を十分に抑え込むことが結局、経済活動の再開を早め、経済へのダメージを小さくする。宣言の延長はやむを得ない。
ただ延長期間がなぜ二週間なのか。これから年度末に向けて歓送迎会や卒業式、花見などのイベントシーズンを迎える。専門家の中には、年度をまたいで一カ月程度の延長を求める声があった。
宣言延長により、国民はさらに我慢を強いられるのに、菅義偉首相の説明は不十分ではないか。
今月二十五日には東京五輪の聖火リレーが始まるため、首相はその前に宣言を終わらせたいようにすら映る。
これまで飲食店の時間短縮営業や不要不急の外出自粛の要請、テレワークの推進に取り組んできたが手詰まり感がある。経営支援を含む明確な追加対策も見えない。期間延長だけで新規感染者数を減らす効果があるのか疑問だ。
もちろんやるべきことはある。感染が広がる医療機関や高齢者施設では検査態勢の強化など対策を徹底すべきだ。いずれ既存株と入れ替わるとみられる変異株への監視態勢も強化せねばならない。
新規感染者数が減少しつつある今のうちに、医療機関同士の連携も強化しておきたい。
感染拡大の防止には人と人との接触をどう抑えるかが重要だ。
政府の対策分科会はイベントの自粛、宴会なしの花見、家族以外は四人までの会食、混雑していない店の利用、店舗での一定の二酸化炭素濃度を超えないような換気の実施、経営トップの率先したテレワークなど、具体的な対策を挙げている。
政府がここまで細かな対策を求めるのなら、国民の納得と協力を得られるよう丁寧に説明し、危機感を共有することが必要だ。首相はその責任を果たしているか、常に自問自答すべきである。
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